芸人たちの肖像画を描いた先生も来場! 世界共通の言語を探る体験型ワークショップでNO BORDERに!
2019年10月20日(日) レポート
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10月20日(日)、元淳風小学校で未来言語×京都国際映画祭「パラアートフェス『未来言語ワークショップ&アートオーク笑』」がおこなわれました。
このイベントでは、視覚障がい/聴覚障がい/知的障がい/言語難民といった「障がい」をテーマにしたソーシャルベンチャー4社とともにコミュニケーションについて考えるプロジェクト「未来言語」とコラボしたワークショップで「話せない・聞こえない・見えない」等の状態となり、今までにないコミュニケーションにチャレンジします。
そして、そこから生まれた気づきやエピソードを集約し、「未来の言語」となるアイディアを参加者と探るほか、展示で制作したアーティストの作品のオークション企画も実施しました。
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MCは次長課長・河本。まずは未来言語メンバーである永野さん、松田さん、菊永さんと手話通訳さんのご紹介がありました。永野さんは普段は外国人に日本語を教えています。松田さんは「知的障害の方のイメージを変えていきたいという思いを軸に、知的障害の方が描いたアート作品を扱っています」とご挨拶。菊永さんは手話でご挨拶をされました。
吉本芸人たちも登場。麒麟・田村も手話で自己紹介。2700・ツネは「右ひじ左ひじ交互に見て」とジェスチャでアピール。レイザーラモンHGは「復帰フォー!」、くまだまさしもサングラスを上下に揺らしながら「復帰フォ~!」。視覚障害のある濱田祐太郎は「吉本を通していただいた仕事は、僕にとっては何でも闇営業です」と得意の皮肉でご挨拶。インドネシア住みます芸人のそこらへん元気は「めっちゃええやん」という挨拶をインドネシア語でおこないました。続けて、アーティストとして活動している吉本所属のSatolyの紹介もありました。Satolyはいろんな国の養護学校、盲学校、聾学校、小児科などを訪問をし、アート活動を行っています。
吉本興業では国連が進めるSDGsの普及活動もお手伝いしています。冒頭ではSDGsの説明もありました。
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未来言語×京都国際映画祭「パラアートフェス」では、京都の福祉施設「Swing」「アトリエやっほぅ!!」のアーティストが描いた芸人の肖像画を展示するDARE展もありました。「DARE」には日本語の「誰」と「あえておもいっきって~する」という英語の「DARE」という2つの意味が込められています。2部では芸人がモデルになった肖像画のオークションも控えています。
ここで「アトリエやっほぅ!!」の国保さんの絵のモデルが登場。ゆりやんレトリィバァです。また、国連広報センターの根本かおるさんも登場。SDGsについて「政府のみならず、地域など皆さんの力で変えていきましょう。自分ごと化してもらって、実現していきましょう」と熱いメッセージを送りました。
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ワークショップは、くまだまさしのクラッカーネタで華々しくスタートしました。まずは「未来言語」についての説明があり、参加者にはカードを引いて「見えない」「話せない」「聞こえない」世界を体感してもらいました。そこから生まれる気付きやエピソードから、新しい未来言語やコミュニケーションを作っていこうという試みです。
見えない人はアイマスク、聞こえない人はヘッドフォン、話せない人はマスクで役割を表します。ニックネームを全員で共有するゲームでは、誰とでも共有するために、様々な方法で自己紹介を試みました。「思っているより難しい」とはHG。「見えないことは不安だった」と言う参加者もいました。また、筆談禁止のしりとりや、「見えない・聞こえない」人に「花が咲く」など名詞+動詞で内容を説明するゲームも。最後は「面白い絵を描く」を「話せない・聞こえない・見えない」人同士で伝え合うというもの。もちろん筆談禁止です。伝え方は世界共通であることも大事な要素です。そのため、ひらがなを想起させる日本語もNG。難易度の高いコミュニケーションに参加者たちは苦戦していました。
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2部のオークションではSatolyの解説も楽しみながら、福祉施設「Swing」「アトリエやっほぅ!!」のアーティストの皆さんが描いた肖像画を紹介&落札。田村が2650円で入札すると、直後に必ずツネが「2700円で!」と言うお約束もできて大盛況。最も高値で落札されたのは「アトリエやっほぅ!!」の木村さんが描いたHGの肖像画で、Satolyも「躍動感がある!」と絶賛しました。
時間になりイベント終了。ゲームを通じて「健常者同士で伝える際に、いかにいい加減に伝えているかよくわかったと思います。見えない、聞こえない、しゃべれない人にどう伝えるか。地球全体で共通に伝えられる言語や道具が見つかるまでやめません!」と河本、熱意を見せました。
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イベント終了後に国連広報センターの根本 かおるさんと河本に感想などを尋ねました。ワークショップから参加した根本さん、「ワークショップは難しかったです。言葉に障壁があると伝えることはとても難しいと痛感しました。また、いかに普段おざなりにしか伝え合っていないかもわかりました」と率直な感想を。「日本語は世界の中でもトップクラスで難しい言語ですが、我々が慣れ過ぎていて。日本人同士では“あれ””それ“で済ませようとしていましたが、こういう活動に携わると、ちょっとのことも全く伝わらないんだなと非常に勉強になります」と河本。
見える人、見えない人、聞こえる人、聞こえない人たちの間では想像以上にコミュニケーションが分断されていることに気づきます。「話せない、聞こえないという障害があったとき、伝えられないもどかしさもありました。ワークショップでは、話せない・聞こえない・見えない人の役割になったのですが、すべて遮断されていてすごく心細かったです」と根本さんも体験して初めてわかったことがたくさんあったそうです。手話も習得している河本については「積極的にさまざまなことを伝えようとなさっていて、とても心強い存在」と根本さん。また、2部のオークションでは作家の先生と直接話したり、どういう思いで絵を描いたのかがわかって楽しかったそうです。
河本は以前、東京・渋谷で開催荒れた『ナナナナ祭』で、作家の先生に来場してもらい、その場で芸人が先生方の描いた絵にタイトルをつけた作品をオークションにかけるというイベントを開催ました。その時、先生と芸人とのコラボレーションがすごく素敵だと思ったといいます。「全国でも、こういう形でもっとできれば。このオークションは今後も続けていきたい」と意欲的。健常者、障がい者の枠を超えたコミュニケーションを模索し続けます。
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