作画監督が語る五十嵐大介の重厚な世界観!『海獣の子供』舞台挨拶
2019年10月20日(日) レポート
10月20日(日)、イオンシネマ京都桂川にて、アニメーション『海獣の子供』が上映されました。
自然世界への畏敬を独自の漫画表現で読者を魅了し続ける漫画家・五十嵐大介さんの『海獣の子供』が2019年初夏、待望の長編アニメーション映画化。制作は映画『鉄コン筋クリート』などのハイエッジな映像表現が世界的に注目されるSTUDIO4℃が担当し、芦田愛菜のほか、豪華キャストが出演しています。
作品世界に彩りを添える音楽は久石譲、そして主題歌は米津玄師『海の幽霊』と、映画のもうひとつの顔ともいえる豪華な布陣で盛り上げます。
上映後の舞台挨拶には、キャラクターデザイン・総作画監督・演出の小西賢一さん、平井俊輔(どりあんず)、声優の神楽千歌さん、汐宮あまねさんが登壇。制作秘話などここでしか聞けない話をたっぷり披露しました。
小西さんは舞台挨拶前に客席で映画を観ていたそうで、司会のお〜い!久馬に感想を尋ねられると「公開からもうだいぶ時間が経ったんですが、改めて『よくできたな』と思いました」と感慨深げ。回りのお客さんの反応も気になったようで「ドキドキしながら観ていました。近くのお子さんの声がちょっと聞こえちゃったりして」と明かす一幕も。
作画監督としてこだわったシーンも多く、「前半の、海くんと琉花が出会うシーンや空くんと出会うシーンは印象的です。でも、どのシーンも原作のいいシーンを集めているので、思い入れはたっぷりです」と決めかねている様子。久馬は「アニメでは水中のシーンを表現するのは難しいと聞いたことがありますが、すばらしかったです」と感想を述べると「ありがとうございます」と笑顔を見せていました。
神楽さんは、「観終わって、改めて『エネルギーに満ちた映画だな』と思いました。壮大な展開の中で、ひとつひとつの表現や映像、色使いがとても繊細に描かれていて、その繊細さと作品全体が持つ力強さが、作品のテーマである命というものをとてもよく表れていました。さらにそこに芦田愛菜さんという声優の皆さんのエネルギーが加わることによって、こちらまで鼓動が聞こえてくるような、生きているような映画だったなと思いました」と熱く語りました。
汐宮さんは「とにかく水や海、水族館など、水が関連する映画は美しくて、そこがまず響いてきました。あと、サメやクジラが本当にリアルで、映画館ならではの楽しみ方だなと感じました」とアニメーションの美しさに感激していました。一方で、「内容が難しい場面もあったので、原作も読んでみたいと思いました」とも。
平井は、その体型から久馬に「ジュゴンの役…でしたっけ?」と水を向けられ「ジュゴンじゃないです!」と返してお客さんは大笑い。「蒼井優さんや稲垣吾郎さんという豪華出演陣に並んでいるのがすごい」と久馬が言うと、「そうなんです。今回、研究者の役をやらせていただいたんですが、声優に挑戦したのは初めて」と平井。よく「声がいい」と褒められるそうで、「ナレーションやリングアナはやったことがあるんですが、声優はなかなか機会がなくて。挑戦できてよかったです」と前置きをしつつも、「ただ、大変でした…」と苦労話を。「アフレコはひとりだったので不安だし、渡辺監督が見ているんですが、『いいよ!』と褒めてくれるんです。でも読んでいくと『平井くん、その言い方でもう一度最初から言ってみよう。そういう声の感じがいいよ!』と、褒められながら5回ほど繰り返しました」と平井。これを受けて小西さんは「監督はね、“褒め殺し”の天才なんです」とニヤリ。平井は「そうですよね。『いいよ! さっきのもいいんだけど、さっきのがいいんだよね〜』みたいな感じで乗せられるんです」と笑顔を見せていました。
また、今作の音楽は映画音楽界の巨匠・久石譲さんが手がけたことも大きな話題に。小西さんは「ジブリで有名な方で、宮崎作品だとキャッチーな音楽が多い作風なんですが、でも今回は映画に合わせてシブいというか、クセになる感じなんです。久石さんらしさを出しながら、ジブリとはひと味違う技を見せてくれていると思います。ぜひサントラを聴いてみることをおすすめします。とてもいいです」と絶賛。
さらに、漫画家・五十嵐大介さんが描くキャラクターをアニメーションに落とし込む苦労も明かされました。「五十嵐大介さんの原作は完成度が高く、絵も内容も深い。完成度の高い原作を、アニメーションにするのは難しいんです」と小西さん。「だから、こちらもガチで取り組んで、やってしまったな、と。まだ原作を読んでいない方がいたら、ぜひ読んでいただけるとアニメーションの奮闘ぶりもわかると思います。何度も観ることで、よさがどんどん分かってくる作品だと思います」と語りました。
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