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六角精児が「仕事がなかったらただの無一物」と早期退職した中年男性に自身の姿を重ねる『くらやみ祭の小川さん』を上映

2019年10月20日(日) レポート

10月20日(日)、『京都国際映画祭』にて特別招待作品『くらやみ祭の小川さん』がTOHOシネマズ二条で上映されました。

東京・府中市が街をあえて初の映画製作に乗り出した映画『くらやみ祭の小川さん』。母と嫁と、役者志望の息子に娘が一人と、府中に住むどこにでもある平凡な一家、小川家の家族の物語です。

しかし、ふたを開けてみると出戻り娘の恋愛騒動に母親の認知症と問題だらけ。小川さんもある日、会社を早期退職することを余儀なくされ、意気揚々と第二の人生を送ろうとするも、人生そんなに甘くはなかった。やりたいことも特になく、再就職先が見つかるまでとりあえず決めたアルバイト先では、娘のような若い女子の先輩にダメ出しばかり…。「こんなんでいいのか!?」ともがいていたある日、地元の大國魂神社の「くらやみ祭」のお手伝いをすることになりました。伝統の祭りを通して「人生まだまだ捨てたもんじゃない。楽しくなってきたじゃないか!」と、見る間に生気を取りも出すおじさんの姿を活写しています。そんな小川さんを演じるのは六角精児さん。そのほか、佐津川愛美さん、高島礼子さんなど豪華顔ぶれがスクリーンに華を添えます。

上映後におこなわれた舞台挨拶では、六角精児さん、浅野晋康監督が登壇。MCはアッパレード木尾が務めました。「きれいな女優さんがいてくれるとよかったのですが…すみません(笑)」と開口一番に監督、「俺じゃダメなのか!」という六角さんのツッコミが見事に決まっていました。

まずは、六角さんに小川さんを演じるにあたって意識した点などを伺うと、「私は会社に勤めた経験がないので、リストラや早期退職のイメージがなかったんです。そこをどうしようかなと思ったのですが、考えてみたら僕の仕事というのは、毎日、普通に過ごしていると何も発生しません。社会にぽんと放り出されたら、何をしたらいいのかわからない。そう思うと僕も小川さんと一緒だと。年も近いし、仕事がなかったらただの無一物。それを身に置き換えてやっていくと、自然と動きが定まってきました」と‟小川さん“像へと近づいていったことを明かしました。

「今の話、面白いなと思って」と浅野監督。「最初にこういうお仕事がありますよって台本を渡されますよね。その時点で一読して、これならやれそうだなと思われるのか、どう考えても取っ掛かりが見つからなさそうだなという判断は、どの時点でされるのでしょうか?」と六角さんに尋ねると「現場までの時間を積み重ねていくことが多いのかもしれません」とのお答えが。「自分がどのようなポテンシャルで臨めばいいのかということは、ある程度は考えます。ただ、その時に自分では無理なんじゃないかなと思うような作品だとしても、何か自分を変えてもらえるのではという気持ちがあったら、それは挑みます」と続けられ、『くらやみ祭の小川さん』は台本を手にした時点で面白い作品になる、挑戦してみたい」という気持ちになったと話しました。

府中のお祭りをテーマにした本作。「府中は新宿と八王子の真ん中に位置し、歴史の古い町です。寝室で高島礼子さんが本を読んでいるシーンがありますが、それは司馬遼太郎さんの『燃えよ剣』という歴史小説なんです。その本の冒頭にも出てくるのが府中の『くらやみ祭』で、1000年続く大切なお祭りです。僕自身は府中とは無関係ですが、今回関わらせていただくにあたって、府中の方に失礼のないよう、そして町の人に協力してもらいながら『くらやみ祭』を再現しました。六角さんもあざをつくりながら神輿を担ぎました」と浅野監督。六角さんはお神輿を担いだのは人生初めての体験で、「身が引き締まる、浄化されるような気持ちになった」とご感想を。お神輿は実際の「くらやみ祭」で担ぐ本物を使わせていただき、撮影のためにお祭りではやらないような動かし方も、住民の皆さんと繰り広げました。

お神輿のルート変更について会議に諮る場面を撮影中、実際に住民の方の意見が紛糾する瞬間もあったとか。「それがあまりにもリアルで、勉強になりました」と六角さん。居合わせた他の出演者も「臨場感あるなぁ…」と呟いていたそうです。

『くらやみ祭の小川さん』は10月25日(金)よりTOHOシネマズ府中で公開されます。その後、全国順次ロードショー。「何かを強く訴えるという映画ではありませんが、府中の『くらやみ祭』という素晴らしいお祭りを見てください。あと、家族で起こりうる問題、年を重ねると起こりうる問題は、どの世代にも刺さってくると思うので、映画をご覧になって感じられたことをぜひ持って帰ってほしいです」と六角さん、観ていただいた方に元気になってもらえたらと添えました。

浅野監督は「僕の力不足で不器用なところが多い映画だと思いますが、物語も不器用な男を描いています。公開する劇場も未定、テレビでCMが流れるわけでもなく宣伝も不器用と不器用尽くしですが、まず関東で上映して盛り上げて、そこから全国に広がっていくように、長い目で育てていきたいと思っています。ちょっとでも面白いなと思ったら応援してください」とアピールし、舞台挨拶を締めました。

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