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ヴァージョン違いを世界初上映!世界三大喜劇王ハロルド・ロイドの「ロイドの福の神」

2019年10月19日(土) レポート

10月19日(土)、大江能楽堂では、映画史に燦然と輝く喜劇王ハロルド・ロイドが欧米で最大のヒットを飛ばした傑作、「ロイドの福の神」の上映が行われました。司会の清水圭が出演者を呼び込みます。喜劇映画研究会の新野敏也さん、今回活弁を担当する活弁士の大森くみこさん、ピアノ演奏を担当する天宮遥さんです。

早速、今回のプログラムの特徴について新野さんから説明を。「サイレント・クラシック映画というと古い印象があるかと思いますが、これは、現在のアメリカ娯楽映画の基礎となっていて、とても完成度が高い作品です」さらに本日上映されるものは、劇場公開版やDVD・ブルーレイ等では見られないカメラアングルや演技が異なるプライベート版で、新野さんがアメリカのコレクターが持っていたバージジョン違いを偶然発見したとのこと。大江能楽堂で世界初公開の映像が見られるということで、会場に集まった映画ファンもワクワク感を高めます。「上映後には、トリビアの解説あるのでお楽しみ」にと清水。

活弁士・大森さんには、「活弁を行うにあたって難しいところは?」という清水から質問が。するとこのままではロイドになりきるのが難しいからと、天宮さんと一緒にロイドのトレードマークである丸メガネを装着!会場の笑いを誘います。「アメリカの喜劇と日本の喜劇では演じ方などに違いがありますか?」という質問には、「アメリカと日本では、文化やジョークが違うのでわかりやすくするように意識しています」と解説。今日のために新調したワンピースで気合十分とのことです。
そして、「華やかでおしゃれな作品なので、楽しい演奏を心掛けたいと思います」と天宮さんも演奏のポイントを語ってくれました。さらに「この作品は、恋に落ちるというところがストーリーの根幹なので、1920年の『恋におちて』という曲を、随所にモチーフとしてちりばめています」と聴きどころも。さらに今回は、新野さんも効果音担当で参加するとのこと。東京と大阪間で直接会って練習ができなかったので、スカイプで練習したという成果が発揮されるのか!楽しみです。

そして65分間の「ロイドの福の神」を上映。天宮さんの華やかなピアノ演奏をBGMに、あらゆるキャラクターの声を鮮やかに使い分ける大森さんの愉快な活弁に思わず引き込まれてしまうライブ感のある上映となり、会場には笑いや歓声が巻き起こりました。そして新野さんによるリアルな効果音もバッチリ決まりました。

上映後、「ロイドのドタバタを心ゆくまで堪能しましたね」と清水。「セクシーな女性の声からバリバリの大阪弁まで飛び出して面白かった!」と大森さんの活弁に感動した様子。新野さんも「ピアノの演奏と活弁があると臨場感がせんぜん違いますね」と感想を述べ、劇中に何度も登場する繰り返しのギャグは、道化師の伝統芸で250年もの歴史あるものだという解説も。

続いて、スクリーンに映像を映しながら、新野さんによる「ロイドの福の神」トリビア解説が行われました。この作品は、ロイドの数多くの作品の中で最も成功した映画の1つであり、無声映画時代に12 番目に高い収益を上げた作品。1930年前半、約1万3000本ものサイレント映画がつくられたが、現存するのは約1割程度だとか。

本日上映された作品は、公開目的ではない別ヴァージョンで、ストーリーは一緒だが演技とカメラワークが違うものでした。「オープニングクレジットの謎」や高級車を6台使って撮影された機関車がぶつかるシーンなどの「カメラアングルと演技の違い」を劇場公開版と比較して解説。さらに当時の照明は、太陽光だったので、同じ時間帯に何度も細かく撮影を繰り返していたというエピソードも。現代とは比べものにならない手間のかかる撮影方法のトリビアなど貴重なお話が聞けました。

「このような作品こそ、みんな一緒に大きいスクリーンで見てほしい」と新野さん。「みなさんハッピーになれたのでは?」と天宮さん。「大好きな作品をみなさまと一緒に楽しめてよかったです」と大森さんも感想を述べ、拍手の中終幕となりました。

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