芸人が活弁に挑む恒例企画!「活弁でGO!~活弁師弟タッグ+蘇る京都ニュース~」
2019年10月19日(土) レポート
10月19日(土)、大江能楽堂では「活弁でGO!~活弁師弟タッグ+蘇る京都ニュース~」と題して、芸人たちが活弁に挑戦!第1部では、 サイレントコメディの名作で、半世紀以上前の京都の人々の暮らしや文化などを知ることができる「京都ニュース」の映像を使って芸人が活弁上映に挑み、第2部では、活弁士・片岡一郎さんと堀川絵美が『Yukon Jake』で活弁を披露しました。
まずは、MCのおいでやす小田が「活弁を知らない人でも楽しめるイベントです。安心して楽しんでください」と挨拶し、プロデューサー・立川直樹さん、活弁士・片岡一郎さんを舞台に呼び込みます。この「活弁でGO!」は昨年、大江能楽堂ではじめて開催され、それをきっかけに今年の3月からポストよしもとで行われ、この京都国際映画祭2019 で4回目となる企画です。「前回やった時に芸人さんの底力を感じました」と立川さん。「チャップリンのような音声のない映画を上映する時に、セリフをつける人のことを活動写真弁士といいます」と片岡さんから活動弁士についての説明もありました。
「それでは、出演者の方々をお呼び致しましょう!」とおいでやす小田が紹介したのは、同イベント最多出場の堀川絵美!続いて、なだぎ武、トット、パーカッション演奏の鳥飼りょうさん、ピアノ演奏の天宮遥さんが舞台へ。“ミス活弁芸人”と言われるほどの腕前を持つ堀川絵美は、今回で活弁をやるのは6回目とのこと。「何回やっても慣れないです。毎回緊張します」とこぼします。堀川の腕前について、「大胆さと繊細さがあります。見えないところにある繊細さが見事」(片岡さん)「彼女からは、芸人力をすごく感じます。堀川さんから始まったプロジェクトといっても過言ではありません」(立川さん)と大絶賛され、プレッシャーから「帰っていいですか」とたじたじに。
活弁初挑戦となるトットは、「つい最近、映画館で『カツベン!』(12 月13 日公開の周防監督作品)の予告を観て、興味を持っていたらこの仕事がきたのでうれしいです」と桑原。「(活弁について)今まで知らなかったので楽しみにしてきました」と多田もヤル気を見せます。「映画が大好きななだぎさんは、もちろん活弁知ってますよね」とおいでやす小田に振られた初挑戦のなだぎ武は、「知ってますよ。美味しくいただきましたよ。カツ丼弁当?」とボケたおしていましたが、「俳優もやっていっらっしゃるので演技力に期待します」と立川さんにコメントされ、緊張の表情に。演奏を担当する天宮さんと鳥飼さんは、「普段の活弁はストーリーにある程度沿っているのですが、今回はパッションでどうなるかわからないので頑張ってついていこうと思います!」と意気込みを語りました。
そして、芸人が活弁にチャレンジする前に、まずは活弁がどういうものなのか、片岡さんに実演してもらうことに。制作年や主演者などの詳細不明の作品「霧隠才蔵」という約4分の作品を上映。躍動感のあるプロの活弁とアドリブでつけられる音楽に、「ビックリした」「生でセリフがつけられる臨場感がすごい」と一同感心しきりでした。
芸人が挑戦する「京都ニュース」については、立川さんから解説がありました。1956(昭和31)年に「京都市民憲章」を制定した京都市が全国で初めて映画ニュースを製作したもので、市中の映画館で1994(平成6)年まで上映されていました。244本もあり、今となっては貴重な文化財となっているとのこと。「市がつくってるから、素人っぽいんです。芸人さんの能力をフルに発揮していただいて、面白いニュース映像にしてください」とハードルを上げられた中スタート。最初に音ありのオリジナルを観てから、音なしの映像に合わせてアドリブで活弁をするという大喜利的な要素があり、芸人の腕が試される挑戦です。
まずはトットによる「西陣パレード」。“いい女”というキーワードに頼りすぎたものの、二人でするのは難しい活弁をなんとかやり遂げました。
堀川絵美による「日本一の合唱」では、関西人になじみ深いCMソングをたたみかけ、得意な歌を披露。天宮さんも堀川のリクエストを見事に再現。
続いて、なだぎ武による「自転車の安全な乗り方」は、婚活パーティをモチーフに見事なオチをつけ、会場は拍手喝采に。「脅威の新人が現れましたね」(立川さん)「上手すぎて腹立ってきました」(片岡さん)と二人に言わしめました。
最後にMCのおいでやす小田も挑戦することに。「大根だき」を「強制労働をさせられる労働者の哀愁」にアレンジしましたが、最後に間ができてしまい「二度とやらない!」と悔しい表情を見せていました。
立川さんと片岡さんから発表されたMVPは、もちろんなだぎ武!見事、次の出演権を獲得していました。
続いては、活弁士・片岡一郎さんと “ミス活弁芸人”堀川絵美の活弁師弟タッグによる上映です。作品は、1920年代頭に短編喜劇作品「Yukon Jake」で、内容は特に無く、ギャグが延々と続いていく当時アメリカでよくつくられていたドタバタ喜劇。流れのみの台本はあるが、ほぼアドリブで合わせていくスリル満点の活弁は大迫力!京都国際映画祭や吉本興業の名称も飛び出し、場面にあわせたパーカッションや音楽も見事なシンクロを見せます。女性やおじさんの声、猛獣の鳴き声、いびきなどプロの活弁士顔負けの声を使いわけ、12分の長尺上映をやりきった堀川に、出演者とお客さんから大きな拍手が送られました。
上映後、「ミストサウナみたいに汗かきました。こんな長いのははじめてです…」と疲労困憊の表情を見せる堀川。「私はストーリーをキープしていましたが、好きにやってもらいました。そこそこの形になったのでは」と片岡さん。「12分がアッという間でした」と立川さんも絶賛!
最後に、片岡さんも携わっている、12 月13 日(金)公開の映画『カツベン!』の告知も。お客さん、出演者ともに活弁の魅了をたっぷり堪能した時間となりました。
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