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大混戦&未来の巨匠現る!?『クリエイターズ・ファクトリー』審査発表会映像部門最優秀賞は『グラフィティ・グラフィティ!』の松尾豪監督が受賞! 

2019年10月19日(土) レポート

10月19日(金)、イオンシネマ京都桂川にて『クリエイターズ・ファクトリー』の審査発表が行われました。

『クリエイターズ・ファクトリー』は、映像やアート文化における、次世代を担う人材・才能を発掘する公募型のプロジェクト。映像、音楽、絵画、写真、アニメ、CG、ファッション、工芸など様々なジャンルのクリエイターが表現できる場を作り才能あるクリエイターの発掘、育成を目指したものです。

「エンターテインメント映像部門」は、劇映画、時代劇、アニメ、MV等、ジャンルは問わず、上映時間60分以内の作品を募集し、最終審査に残った10作品が、イオンシネマ京都桂川にて上映されました。
映像以外の「アート部門」では、絵画や立体造形、映像作品も含む様々なジャンルを募集。さらには15歳以下の子どもたちの自由な発想から生まれた作品を対象とする「子ども部門」も広く募集されました。「アート部門」「子ども部門」で審査を通過した作品は、元淳風小学校にて展示されました。

「エンターテインメント映像部門」でグランプリに輝いた方には、賞金100万円および商業映画やドラマ、アニメ製作など、プロの現場での活動のバックアップが約束されています。「アート部門」で優秀賞に輝いた方には賞金50万円が、子ども部門優秀賞に輝いた方には表彰状と賞品がそれぞれ授与されます。

いよいよ審査の発表です!「エンターテインメント映像部門」の審査員は、春日太一さん(映画史研究家)、天明晃太郎さん(放送作家)、松崎健夫さん(映画評論家)、古賀俊輔さん(映像プロデューサー/株式会社ザフール代表取締役)、上木則安さん(株式会社ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント インターナショナルプロダクションズ)の5名が務めました。

まずは観客の皆様の投票で選ばれる観客賞の発表から。古賀さんにより『グラフィティ・グラフィティ!』の松尾豪監督の名が読みあげられました。

受賞者コメント

クリエイターズ・ファクトリー観客賞
『グラフィティ・グラフィティ!』 松尾豪監督
「この映画は、3か月前にできたばっかりの作品です。それをこの大きいスクリーンで観ることができただけで感動し、映画って楽しいなと思っていたその直後にこの観客賞……。本当にありがとうございます」

優秀賞は、今年は3本。『僕だけは知っている』上條大輔監督、『羊と蜜柑と日曜日』の竹中貞人監督、『グラフィティ・グラフィティ!』の 松尾豪監督が受賞しました。

受賞者コメント

クリエイターズ・ファクトリー優秀賞
『僕だけは知っている』上條大輔監督
「ショートフィルムのジャンルで作ったのですが、こういう題材は嫌われがちなので、(受賞に)驚いております。観ていただいて本当にありがとうございます」


クリエイターズ・ファクトリー優秀賞
『羊と蜜柑と日曜日』竹中貞人監督
「去年もクリエイターズ・ファクトリーで優秀賞をいただき、今回は、その優秀賞の経歴をロケ地の交渉やキャスティングの際に、ふんだんに生かして撮った作品です。本当にありがとうございます」

 

クリエイターズ・ファクトリー優秀賞
『グラフィティ・グラフィティ!』 松尾豪監督
「連続で賞をいただけて、このうえない喜びです。素敵な体験をさせていただいて、最高に嬉しいお土産話として、一緒に作品を撮った仲間たちに話したいと思います」

 

そして春日さんからグランプリの発表。
松尾豪監督の『グラフィティ・グラフィティ!』に決定しました。

「震えが止まりません。コンセプトは自分たちの『遊べるものを作りたい』やクリエイティブを詰め込める30分にしたかったので、京都国際映画祭のコンセプト的にも相性が良かったのかな、と思ってます。夢を追っている人の後押しや、ポジティブな記憶を思い出せる作品になれば。この賞を励みにこれからも頑張りますので、応援よろしくお願いいたします」

そして今年は春日さんから「もう一人別の形で表彰したい」と思わぬ一言が。
「審査員一同が一致した、特別賞を贈りたい作品があります。池田周治監督の『トイペ!』です 」と発表されました。

受賞者コメント

クリエイターズ・ファクトリー審査員一同特別賞
『トイペ!』 池田周治監督
「京都国際映画祭を子ども部門で知って、去年はそれで出させていただいたんですけど、今年は映像部門にも出品しました。ありがとうございます」

池田監督は中学生。しかし審査員の方々からも「中学生と知らずに高得点をつけていた」という裏話が飛び出し、「十分に通用する映画のリズムやセンスを持っている」と高い評価を受けました。これからずっと映画を作り続けてほしい、という審査員たちからの熱い応援の言葉に、池田監督も「はい、頑張ります!」と大きな声で答え、会場は温かな拍手で包まれました。

審査員評は、「受賞された方、そして出品された全ての方、本当にありがとうございました。受賞された方は、大きなスクリーンで上映されるというのは、とてもよかったと思います。私も10本見て退屈せず楽しめました」と上木さん。

「10作品の皆さん、おめでとうございます。私は、映画は人間の感情を強くしていく、とても大切な文化だと思っています。映画を続けて撮ってください。必ずや、一緒にプロとしてやっていきたいと思っているので、待っています。来年ぜひ新しい作品で来ていただければ」と古賀さん。

松崎さんは「年々作品レベルが上がっている」としながら「音の聞こえ方とスクリーンの大きさがシネコンと、パソコンの前で聞く・見るのは全然違うとわかったと思います。画面が大きくなると、一つの画の中でいろんな演出ができる。今回はその演出がなされているものが少なかったかなと感じました。この会場で映画を上映されたからこそ、練習だと思って、学んでいただければと思います」と具体的なアドバイスを述べられました。

天明さんは「皆さんも作り続けてください。また、懇親会で、作り手同士のコミュニケーションの場も用意しています。みなさん意見を交換していただければと思います」と語られました。

最後に春日さんの総評です。「優秀賞のお三方に、自分が願ったことを仰っていただいた。上條監督の『嫌われやすい作品なので驚いた』という通り、ここでしかかけられない映画を選びたいという思い。竹中監督の『去年の優秀賞を活用した』、松尾監督の『シネコンでやれるという楽しさ』、すべて、このクリエイターズ・ファクトリーが目指しているものです。今回は本当に横一線でした。池田監督の作品も含め、それぞれの審査員が推している作品があり、5年目になりながら、充実した内容になったのではと思います」

次にアート部門の発表です。審査員は、鈴木沓子さん(ライター・翻訳家)・玉置泰紀さん(株式会社KADOKAWA 2021年室エグゼクティブプロデューサー担当部長/京都市埋蔵文化財研究所理事)・仲程長治さん(写真家・アーティスト)が務めました。

優秀賞は鈴木さんから発表されました。アート部門優秀賞は山本アンディ彩果さんの「エターナルストーリー」が、子ども部門優秀賞は山口果歩さんの「ザリガニ」が受賞しました。
山本アンディ彩果さんは、来場されておらず、後日トロフィーの授与が行われることになりました。

受賞者コメント

子ども部門 優秀賞
「ザリガニ」山口果歩
「うれしいです。絵を描くのが大好きです」

授賞式が終わったあとは、「エンターテインメント映像部門」の受賞者と審査員たちによるトークセッションが行われました。
「トークセッションでは、まさか受賞者にこんな厳しい言葉が浴びせられるとは、という場で(笑)。しかし、それがこの京都国際映画祭。授賞式で終わりではなく、審査員がどう審査したかということや、監督の作品の意図を聞き、今後の参考になればと思います」
この春日さんの言葉通り、それぞれの作品の脚本やロケハン、編集、エンディング曲など審査員による厳しい質問が飛び交いました。セッションに参加した4人の監督は、ときにはタジタジとなりつつも身を乗り出し、自分たちの体験や作品への思いを語り、大いに盛り上がりました。

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